奥田輝芳 Okuda Kiyoshi

ギャラリースケジュール

2018年10月9日(火) - 10月21日(日) この展覧会は終了いたしました。

※掲載作品の著作権は奥田輝芳に帰属します。無断転載は固く禁じます。

以前は仕事の関係で奈良へは毎年ゴールデンウィーク前後に訪れていました。おおよそは、奈良市内の寺社仏閣巡りをしておりまして、興福寺の国宝館、東大寺、二月堂、三月堂、戒壇院、新薬師寺、元興寺、春日大社、薬師寺、唐招提寺、少し足を伸ばして法隆寺、秋篠寺、飛鳥寺、聖林寺など有名どころはが中心でした。ただ、ここ数年はその機会もなくなり、残念ながら僕にとって少し遠いところになっています。お寺も面白いのですが、そこにいらっしゃる仏像の作風に時代の趣を感じ、その古び方に時間の堆積を感じ、ため息をついていました。特に塑像に興味を触発されて、戒壇院の四天王像、新薬師寺の十二神将、三月堂の執金剛力士立像には圧倒されました。
この度、ギャラリー勇斎、山中千恵子さんのご好意で展覧会をさせて頂くことになりまして、大変嬉しく感謝しております。展覧会は新作で、というのが僕の信条です。しかし奈良での初めての個展ですので、奈良をイメージして描いたドローイングも是非展示したいと考えています。それと、新作の山のような島のような形を描いた作品。また、いま続けて手がけています小品のドローイング「hint」シリーズ。最近の山のような島のような図形は、どこからきているのだろうかと僕自身も思っていますが、今住んでいる山の上から琵琶湖に降りて対岸を見ると、山が湖面に浮いているように見える、丁度いま描いているような光景があるのです。いつしか見慣れていた山の形が、僕の心の底に沈んで、少しずつその頂を水面に出してきているのでしょうか。この情景は僕の感覚の中でしか絵と繋がらないのかも知れません。実は描いている山の形よりも、山と山の「間」に僕の興味があるのです。手を入れている時間が長いのは「間」の方です。何かと何かの間を繋ぐもの、埋めるもの、無さそうで在るものが一番大事なものではないかと思っています。それでも我々に見えるのは形の方です。そちらにももちろん描く愉しみを感じて制作をしています。その見える形の方が、心の底から顔を出しています。そんな絵を今は描いています。どうぞご高覧ください。

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